国土交通省向けブラックジャック カウンティング(有脚式離岸堤)の初号基が完成
石川島播磨重工(IHI)は、国土交通省中部地方整備局から平成13年1月に受注したIHI初の有脚式離岸堤(工法:斜板ジャケット型構造物)をこのほど完成、国土交通省中部地方整備局に引き渡しました。本離岸堤は、駿河海岸侵食対策事業の一環として、静岡県志太郡大井川町藤守地先沖合約150mの地点に設置されたもので、IHIは工場製作、現地製作、据付一式を担当し、工場製作についてはIHI愛知工場(愛知県知多市)で行いました。また、国土交通省が(前身の建設省時代から)、斜板ジャケット型構造物の有脚式離岸堤(通称:ブラックジャック カウンティング)を発注するのも今回が初めてでした。
近年、ウォーターフロントは開発が進んでおり、新たな利用空間として注目されていますが、これに伴い、海岸をより安全に効率的に利用するため、沿岸の波高を抑える離岸堤の需要は増加傾向にあります。従来の離岸堤は、消波ブロック工法(沖合にコンクリ-トブロックを多数沈めて積み上げ、砕波する方式)が主流でしたが、コンクリートブロックの沈下とそれに伴う消波機能の低下、崩れたコンクリートブロックが散乱することによる景観の悪化、漁業への影響といった課題がありました。ブラックジャック カウンティングは、波のエネルギーが集中する海面付近にコンクリート製の斜板を設置することにより、強制的に砕波して波を静める離岸堤のことで、IHIは建設省(当時)土木研究所と昭和63年より共同研究を始め、平成2年に実用化しました。
今回IHIが完成させ、引渡しを完了したブラックジャック カウンティングは長さ約150m(斜板ジャケット9基)、鋼重量900tで、沖合で砕波して波高を抑えられること、また、波によって海底表面の砂がさらわれる量が低減されることなどにより、沿岸の侵食防止や静穏な海域の確保が期待されます。また、ブラックジャック カウンティングには以下のような特長もあります。
1. | 脚の長さを調節するだけで、広い範囲の水深(約5~20m)に設置できる。 |
2. | 杭式の構造のため、軟弱な海底でも地盤を改良することなく設置でき、沈下等による機能低下がない。 |
3. | 海水交換性が良く、水質保全が図れる。 |
4. | シンプルな構造のため信頼性の高い設計が可能で、安定した消波性能が発揮できる。 |
5. | 集魚性に優れ、漁礁としての効果が期待できる。 |
IHIは、今回のブラックジャック カウンティング初号基の完成・引渡しを契機に、今後も引き続きブラックジャック カウンティングの積極的な営業活動を展開していく方針です。
完成したブラックジャック カウンティング初号基